坊っちゃんと押し入り客



燃料が足りないようで空吹かしばかり
起動せずです鷲

家主さまに誘われて
商店街にたった一軒しかないうなぎ屋さんを目指す
目抜き通りを一歩入ったところ

遠目に、あれ?看板灯ってないよ
ん?暖簾も出てないよ、でも店んなか明かり点いているし
うなぎ焼く匂いもしてるし
暖簾出すの忘れてるんじゃーない?坊っちゃんだから
家主さま入口の引き戸をガラガラー

出前があるから時間かかりますよ、よろしいですか?
坊っちゃん

あ、全然いいですよその間飲んでるから
っつーことで待つことにした

しかし、それでも暖簾を出す気配なし

ビール下さい
はい、お待ちを

厨房から声が
あ、ビールあと一本しかない、、、

(へ?)
(、、、、、、)
家主さまと鷲目配せして
溜息とともにうつむく

時間かかるしビールもないようだから
時間稼ぎに外でタバコ吸ってくる
と家主さま席を立つ

外では同じく
今日はやってないのかなと
窺っていたサラリーマンが二人いたようで
家主さまが外に出た瞬間
おや?と思ったらしく店内に入ってきた

30分くらいかかりますよ、と坊っちゃん
サラリーマン二人組、いいっすよー

ご注文は?
上、大盛りで



ざざざざざざー
しゃっしゃっしゃっ

お米とぎはじめたよ


プルルルルルー電話
はい、えっ?はぁー分かりました

はぁぁ
厨房から大きな溜息が


ガラガラガラー引き戸が開く
男女二人組が店内へ

あ、電話で注文された方ですね、どーぞ


暖簾出てないのに店内ほぼ満席
さあ坊っちゃんどうする?

入店から30分
注文のうな重出てきました
時間置かずにサラリーマン二人組にも注文の品が

そして店入口に貼紙をしに行く

「本日 売切」

午後の営業は
暖簾が出ぬまま
終了


ぼっちゃん頑張れ!
若旦那と呼ばれる日まで!
もう無理強いしないからね

先代の大将と女将さんには良くしてもらったから
懲りずに通うからね


んーそんでも、今年も土用の丑の日があやしいもんだ。


そんで、家主さまを駅まで見送って
鷲は穴蔵、帰宅