はじまりの物語
二人組み、予防接種を受けにいく二週間前
新しい建物、真新しい内装、明るい待合室
どんな先生なんだろう
二人一緒に呼ばれて診察室へ
問診、注意事項などをきく
三年前、ここを建て替える前の病院で予防接種を受けたこと、
二年前に同じように予防接種を受けたかったのに病院が閉まっていたこと、
おばあちゃん先生が亡くなっていたこと、
その息子さんが同じ場所で開業したこと、
だからまたここに来たことを話した
新しい先生は、
自分も医者なのに母の病気を早いうちに見つけられなかったんだよね
と
ぽつり
その瞳の奥に
ストーブの上で沸く湯気と音と灯油の匂いと
中庭からの陽射しをうけて
白衣姿のおばあちゃん先生が映った
物語の続きが始まる